前回まで数回にわたり「相続税の節税」対策を記載してきました。
今回から「相続時の争族」について記載したいと思います。
「相続時の争族」とは、遺産の分け方をめぐって遺族間で発生する争いのことをいいます。
これらの争いの大部分が、被相続人の意思表示がはっきりできていなかったために起きています。明確な意思表示をする方法としては、法定相続よりも優先される遺言書の作成が最適です。以下に該当する場合は、特に遺言書を作成しておいた方がよいでしょう。
- 相続人ごとに承継させたい財産を指定したい場合
- 相続人同士が不仲の場合
- 夫婦間に子供がいなくて、遺産をすべて妻に残したい場合
- 内縁関係の場合
- 相続人が誰もいない場合
- 住んでいる家と土地しかない場合
- 先妻の子供がいて後妻がいる場合
- 未認知の子供がいる場合
- 息子の妻や世話になった人のために財産を残したい場合 など
遺言書の種類には「普通方式」と「特別方式」があります。
ここでは、相続対策として利用される「普通方式」(3種類)について簡単にふれておきます。
- 自筆証書遺言
遺言者自身が、自筆で遺言の全文・日付・氏名を書き、押印したもので、保管方法に注意する必要があり、紛失や改ざんの心配があります - 公正証書遺言
公証人が作成します。紛失や改ざん、遺言が無効とされる心配はなくなりますが、2人以上の証人が必要になり、費用もかかります。 - 秘密証書遺言
遺言者自身が、全文・日付・氏名を書き(パソコン・代筆可)封をしたものを公証人に提示し、2人以上の証人の前で署名・押印したもので、手続きが面倒で費用もかかります。
確実な遺言書の執行ということを考えれば、多少費用はかかりますが、公正証書遺言を作成しておいた方がよいでしょう。
相続発生によって、仲の良かった親族が遺産をめぐって争いとなり、不仲になった話も聞きます。
遺産が少なくても「相続時の争族」が起こりうるので、親族同士の争いを未然に防ぐためにも、ぜひ遺言書の作成をおすすめします。
また、遺言書という言葉に心理的な抵抗がある場合には、死因贈与契約書を作成するのも方法の一つです。
死因贈与の形態は贈与ですが、遺言書と同様の効果があり、相続税法上も贈与税ではなく相続税の対象となります。
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