相続税の概要と計算方法

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相続税の概要と計算方法

「納税資金の確保」「相続時の争族」「相続税の節税」のうち、今回は一番反響がありました「相続税の節税」対策について、まずは相続税の概要と計算方法に触れていきます。

相続税とは、亡くなった方の財産を相続・遺贈によって受け継いだ人に対して課される税金です。その相続税の課税対象は亡くなられた方の何%くらいだと思われますか?

相続税の課税対象の割合は約4%です。案外少ないと感じられたのではないでしょうか。したがって相続税が課税されない方は96%もいることになります。しかし、相続税を払わなくてもよいから相続のことを知らなくてもよいかというと、そうではありません。相続税を払わないとしても「相続時の争族」を発生させないためにも十分な準備が必要です。

また、一般的に個人の一定以上の資産は、相続のたびに相続税を支払うことにより減っていき、相続が3代続くとその資産はほとんどなくなってしまうと言われています。資産を保有しているだけでは、資産を守ることはできません。

一番重要なことは、事前に計画的な対策をとることです。相続が発生してから対策を考えたのでは遅すぎるということです。

 

相続税の税額計算は、

  1. 各人の相続税の課税価格の計算
  2. 相続税の総額の計算
  3. 各人の納付すべき相続税額

の計算の順で行います。

 

〇相続税額計算例

<設定>
被相続人夫(70歳)相続遺贈財産 1億円2000万円(便宜上すべて現預金としています)
妻(65歳)  6,000万円
長男(45歳) 5,000万円
長女(40歳) 1,000万円

相続税の総額の計算

課税価格の合計額

6,000円(妻)+5,000万円(長男)+1,000万円(長女) = 1億2000万円

 

基礎控除

5,000万円+1,000万円×3(妻、長男、長女の3人)= 8,000万円

 

課税遺産額

1億2000万円-8,000万円 = 4,000万円

 

法定相続分に対応する各人の取得金額

妻・・・・・4,000万円×1/2 = 2,000万円
長男・・・・4,000万円×1/2×1/2 =1,000万円
長女・・・・4,000万円×1/2×1/2 =1,000万円

 

相続税の総額のもととなる仮の税額

2,000万円×15%(税率)-50万円(控除額)=250万円
1,000万円×10%(税率)-0万円(控除額) =100万円
1,000万円×10%(税率)-0万円(控除額) =100万円

 

相続税の総額

250万円+100万円+100万円 = 450万円

 

各人の納付すべき相続税額の計算

按分割合(小数点第3位を四捨五入し、割合の計が1になるようにする)

妻   6,000万円/1億2000万円 = 0.50    → 0.50
長男  5,000万円/1億2000万円 = 0.4166…  → 0.42
長女  1,000万円/1億2000万円 = 0.0833…  → 0.08    計  1.00

 

算出税額

妻   450万円×0.50 =225万円
長男  450万円×0.42 =189万円
長女  450万円×0.08 =36万円

 

税額控除の検討

妻・・・・・配偶者控除の税額控除に該当(1億6000万円までは免除)
長男、長女・・・・・該当なし

 

納付税額

妻・・・・・0円
長男・・・・189万円
長女・・・・36万円

 

基本的な相続税の節税対策は、

  1. 課税財産(プラスの財産)を少なくする、マイナスの財産(借入金など)を増やすことによって課税価格を減少させる
  2. 法定相続人を増やして基礎控除額を増やす
  3. 税額控除や特例を活用する

などがあげられます。

 

次回以降、具体的な事例を取り入れながら「相続税の節税」対策について、検討したいと思います。